平成20年12月28日(日)
昼の部 午後1時開演
夜の部 午後4時30分開演

平成10年5月30日に産声を上げた「楽で落語を聴く会」も、諸般の事情により
しばらくの間、お休みをいただく事になりました。
そこで、今まで応援して下さったお客様へのお礼と、「楽で落語を聴く会」が復活する事の祈念を込めて、
スペシャル版を開催いたしました。

このレポートは、その、ほんのほんの一部です。少しでも当日の雰囲気が伝われば、そしてご来場いただいた
お客様には当日の事が蘇る、その一助となれば幸いです。

気楽にお楽しみください。


※フラッシュを使用せずに撮影しましたので、画質はかなり荒くなっております。ご了承ください。

今回ばかりは本当に多くのメンバーが集まりました。
福寿さん(左端:可児無眠落語の会メンバー)や
きよきよさん(真中)も応援に駆けつけてくれました。
今回はオール生下座。本格的に下座を生で、身内中心で
やるのは「楽で落語を聴く会」では初の試みです。
はたして、やり切れるのか???
三味線を弾いている妙齢の別嬪さんは、応援の
「糸家ばちゃこま」さんです。下座専用の
お名前で、その正体は・・・知る人ぞ知る、
とあるジャンルでの有名人です。

(三味線)花乃家金葉 糸家ばちゃこま
(鳴り物)隣乃玄張 槍田家志ょ朝 道落亭かね平
      南遊亭栄歌 竜宮亭無眠
(笛)南遊亭栄歌

受付けの綺麗どころ4人衆!
でも実は、楽語の会のメンバーは一人だけ。
さて、問題です。唯一のメンバーは誰でしょう?
「この中でメンバーはあんただけやで」と
言ったら、本人は嫌がってましたが(笑)

そのメンバーさんは、受付けから離れる事が
できず、一席も見る事ができませんでしたが、
「来てよかった」と言ってくれたのが
とても印象に残っています。

お手伝い下さったお三方、本当にありがとうございました!
舞台では、マジック用具をどこに置くかの
入念な打ち合わせ中。

あちらこちらで色んな打ち合わせや
指示が飛び交いました。



そして・・・静かにその時を待つ高座。

お客様はどのぐらい来られるのか、
落語は大丈夫か、下座はうまくいくのか
まだ誰にもわかりません。

一番太鼓:無眠
二番太鼓:(大太鼓)玄張 (締太鼓)無眠
       (笛)栄歌 (拍子木)かね平



昼の部
「扇の的」 槍田家志ょ朝
「十徳」 花乃家金葉
「宮戸川」 お好味家喜楽
「餅屋問答」 南遊亭栄歌
仲入り
「勘定板」 若井家かもめ
「マジック」 スラリー太陽
「池田屋騒動」 若鯱亭夢輔

約50人のお客様の中、いよいよ開演いたしました。
トップバッターは志ょ朝です。
「楽で落語を聴く会」初出演は平成11年12月23日
「その九」で、その時もトップバッターで「扇の的」。
思い出の一席です。
出囃子:石段
(三味線)金葉 (太鼓)無眠 (笛)栄歌 (鉦)玄張
(拍子木)かね平
源平合戦の有名な「扇の的」を地噺で進めていく
この噺、ともすればトゲのある内容を、志ょ朝の
柔らかい人柄がふんわりとオブラートのように
包んでくれます。
やわらかい人柄で落語をやらせれば
楽語の会で随一!

なんだか楽しそう♪
玄張はこの日のために苦手な曲を随分とお稽古してきて
くれました。特に、最後の「三下り中の舞」は金葉と
開場直前まで休み無く稽古していて、「開場ですよ」と
言うまで手を休めることはありませんでした。
その姿には感動さえ憶えました。

二番手は金葉です。この日のほとんどの
三味線を担ってくれました。
落語・三味線・鳴り物、マルチプレーヤーです。
「楽で落語を聴く会」初出演は平成10年10月10日
「その参」で、ネタは「米上げ笊」でした。
出囃子:鞍馬
(三味線)ばちゃこま (太鼓)玄張 
(笛)栄歌 (鉦)無眠
ネタは「十徳」。得意ネタを持ってきました。
学校の先生らしく、とてもわかりやすく
それに加えて温厚な性格が、見る人の
安心感を呼びます。
わかりやすい落語をやらせれば
楽語の会で随一!

3番手は喜楽です。
おや?見慣れないめがねをかけていますね。
会場に来た時・帰る時は普段のめがね
だったのですが。おしゃれな喜楽さんが初めて
「楽で落語を聴く会」に出演したのは平成10年12月23日
「その四」で、ネタは「権兵衛狸」でした。
出囃子:金比羅船々
(三味線)ばちゃこま (太鼓)玄張 
(笛)栄歌 (鉦)無眠
今日のネタは「宮戸川」
若い男女と老いた男女の演じわけが
大変なネタですが、持ちネタの中には、
「紙入れ」など、色っぽい女性が出てくる
ネタも多く、艶噺をさせれば
楽語の会で随一!

仲トリは栄歌です。
出囃子はもちろん、二番太鼓まで、
笛は全て栄歌が担当しました。
「楽で落語を聴く会」初出演は平成11年8月15日
「その七」で、ネタはその時も「餅屋問答」。
そのレベルの高さにお客さんもメンバーも
驚きを隠せませんでした。
ゲストとしての出演でしたが、後に
楽語の会に入会、二足のわらじを履く事になります。
出囃子:野崎
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(銅鑼)無眠 (拍子木)志ょ朝
この日も思い出の「餅屋問答」をひっさげてきました。
江戸落語ではポピュラーな「こんにゃく問答」。
上方では「餅屋」になります。
決して珍しいネタではないのですが、
意外と演じ手がいないこのネタは
栄歌の十八番のうちの一つ。
人気と実力は楽語の会で随一!
受囃子:二上り
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(鉦)無眠
仲入り砂切:
(太鼓)玄張 (笛)栄歌
(拍子木)志ょ朝

舞台ソデのばちゃこまさんの勇姿!
素敵な笑顔ですが・・・全く余裕は
ありません(笑)
出囃子の経験は以前に一度、
親子落語会でやった事があるだけ。
さらに前日は長唄三味線の発表会
だったにも関わらず、2曲も弾いて
くれました。
今回、生のお囃子が実現したのも、
ばちゃこまさんが快諾してくれての事。
感謝感激です!
余裕があるように見えても
実はこちらも全然余裕はありません。
写真に説得力はありませんが・・・

志ょ朝さん!血の気が失せてますよ!

休憩後はかもめです。
三人の子育て真っ最中。時間をやりくりしての出演です。
「楽で落語を聴く会」初出演は平成11年3月21日
「その五」で、ネタは「おげれつ指南」。
砂切:(大太鼓)玄張 (締太鼓)無眠
    (笛)栄歌 (拍子木)志ょ朝
出囃子:鯉
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(笛)栄歌 (鉦)志ょ朝
(銅鑼)無眠
かもめが選んだのは「勘定板」。
内容が内容だけに、楽ではずっと禁演落語のような
状態でした。その上、柳家権太楼師匠に
「このネタはやめなさい」と言われ、一時は
落ち込んでいましたが、やっぱりこの人は
このネタです。やる度にどんどん進化しています。
楽語の会随一のがんばり屋さん!

今回、唯一の色物となったマジックです。
演じるは「スラリー太陽」。この日のために
わざわざ東京から駆けつけてくれました。
「誰だ?それ」と思われたでしょうが、
笑皆亭吉笑のマジック名。マジックの先生に
いただいた、大事な名前です。
「楽で落語を聴く会」初出演となりました。
間に合った!!!
出囃子:ミッキーマウスマーチ
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(笛)栄歌 (鉦)志ょ朝
太陽はお客様をいじりながらのステージがお得意。
今日もお客さんにも手伝ってもらいながら
進めていきますが、見えないトランプ(何も持ってない
だけですが)を、お客さんに放り投げる仕種をしたところ、
そのお客さんの「バラけてもうた」の一言に会場は爆笑。
今日はお客さんにいじられてしまいましたね。

マジックをさせれば楽語の会で随一!

・・・もとい、唯一

いよいよ出てまいりました!
昼の部のトリはもちろんこの人、夢輔です!
「楽で落語を聴く会」初出演は当然の事ながら
平成10年5月30日の「その壱」
ネタは「たいこ腹」でした。

出囃子の「芸者ワルツ」は夢輔が随分と前から
所望していた出囃子。ところが著作権のためか、
市販の音源には全く収録されていなかったため、
「お前とならば」を使っていました。

今回、本人には内緒で金葉が
「芸者ワルツ」を憶えてきてくれました。
夢輔には「お前とならばだよ」って
事で口裏を合わせておりました(笑)

リハの時は、見張りまで立てて、こっそり練習した
のですが・・・きっと聞こえてたと思います(笑)

ちなみに夢輔は「芸者ワルツ」に合わせて
踊りながら高座に上がっていった事を
付け加えておきます。
出囃子:芸者ワルツ
(三味線)金葉 (太鼓)玄張
(笛)栄歌 (鉦)無眠
昼の部のトリネタが「池田屋騒動」と発表があった時には
にはメンバーもびっくり!
もちろん、完成度の高さは皆も認める
ところですが、誰もこのネタを持ってくるとは
予想だにしませんでした。

じっくりたっぷり30分。
お客様も大満足の一席でした。

追い出し:
(太鼓)栄歌

昼の部と夜の部の間の一コマ。
気が休まる間はほとんどありません。

みんなで何を覗いてるのかな〜?
そのわずかな間隙を利用して、集合写真を撮りました。
メンバー純粋の集合写真としては新記録の人数では
ないでしょうか。この後、楽馬もかけつけました。

さてみなさん、全員の名前が言えますか?
言えないあなたはもっともっと
楽語の会に遊びに来て下さいね!

※正解は一番下に



この年末に、いったいどれぐらいの人が
来てくださるだろうか・・・ヘタをすれば、ほとんど身内の
お人達がパラパラぐらいになるのでは・・・
そんな心配をよそに、昼の部以上の60人を超える
お客様が、暖房もいらないぐらいの熱気をもって
開演を今か今かとお待ちかねです。
開場直前の行列風景です。
お寒い中、本当に申し訳ありませんでした。
一番太鼓:無眠
二番太鼓:(大太鼓)玄張 (締太鼓)無眠
       (笛)栄歌 (拍子木)志ょ朝



夜の部
「代書屋」 道落亭かね平
「五光」 川の家河太朗
「紀州」 料亭彦柳
「親子酒」 竜宮亭無眠
仲入り
漫談『夢輔って。』 若鯱亭笑天
「芝浜」 若鯱亭夢輔

夜の部のトップバッターはかね平です。
「楽で落語を聴く会」初出演は平成16年12月23日
「その三十」で、その時も「代書屋」。
初めて「楽で落語を聴く会」に掛けたネタを
出す人は、やっぱり多いですね。
思い入れもひとしおなんでしょう。
出囃子:馬駆け
(三味線)金葉 (太鼓)無眠 (笛)栄歌 (鉦)玄張
(拍子木)志ょ朝
この人は本当にトップバッターがお似合いです。
実は大変難しく責任の重いトップバッターを見事に
こなしてくれます。
写真でもおわかりの通り、そのコミカルさは、
会場を一気に落語色に染め上げます。
トップバッターをやらせれば楽語の会随一!

2番手はこの人、楽語の会の重鎮、河太郎です。
実は「楽で落語を聴く会」はこの人の落語で
始まりました。
初出演は平成10年5月30日、「その壱」の
開口一番で「無物買い」でした。
出囃子:狸
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(笛)栄歌 (鉦)無眠 (拍子木)志ょ朝
その河太朗が選んだのが、このネタ「五光」
なんとも言えない不思議な世界の話。
いわゆる「珍品」の部類に入ります。
ちょっと怖いぐらいの噺を、ぽっつりぽっつり語ります。
オチも少々難解で、花札の知識が必要です。

珍品は珍品である理由が必ずあるわけで
最後まで飽きさせずに聞かせるには
それなりの話術を要します。
聞かせる噺・珍品を語らせれば楽語の会で随一!

神妙な表情の彦柳に、ネタを繰る無眠。
出番前も終わってからも悲喜交々です。

普段なら他の人のマクラを聞いて、かぶらないように
するのですが、ほとんど聞いている余裕がなく、
まずかぶらないであろうマクラのセレクト、
そして万が一かぶったとしても大丈夫なように
自分なりの表現にする必要があります。
もちろんお客様の期待感を上げなくてはなりません。
さらに持ち時間の制約が重くのしかかる・・・

いくら考えても「絶対、大丈夫!」という答えが出るのは
高座の上なんですけど・・・それでも直前まで考えて
しまいますねぇ。

東京からこの会のために、わざわざ新幹線で
馳せ参じたのは、旬の人、彦柳です。
「楽で落語を聴く会」の初出演は
平成13年6月17日「その十六」で
ネタは「ずっこけ」でした。
出囃子:勧進帳 延年の舞
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(笛)栄歌
実は、先日行われました、落語協会主催の
「2008新作落語台本コンクール」で、彦柳の書いた
「新かつぎ屋」が、なんと最優秀賞を受賞しました。
http://rakugo-kyokai.or.jp/Topics.aspx?id=194
本人はその事については触れるつもりはなかった
ようですが、お客様から「おめでとう!」の声がかかり、
万雷の拍手をいただきました。
落語の方はというと、江戸落語の心地よさを
感じさせ、粋な江戸落語をやらせれば
楽語の会随一!

夜の部の仲トリは、旬の人partUの無眠です。
書く方と演じる方のトップ競演となりました。
「楽で落語を聴く会」初出演は平成10年5月30日
「その壱」のトリで「親子酒」を演じました。
出囃子:じんじろ
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(笛)栄歌 (鉦)志ょ朝 (拍子木)かね平
この日演じた「親子酒」が夢輔との出会いともなり、
また最初の「楽で落語を聴く会」でトリを飾ることと
なったのです。思い入れも並々ならぬものがあります。
パワフル上方落語を演じれば、
楽語の会で随一!
仲入り砂切:
(太鼓)玄張 (笛)栄歌
(拍子木)志ょ朝

郡上からわざわざ出てきてくれた金葉。
ばちゃこまさんが弾いてくれた2曲を除いた
全11曲。「お前とならば」も一応、用意して
くれたので、全部で12曲を準備して
くれました。お疲れ様っ!

仲入り休憩の後は、メンバーの中でも最も夢輔との
付き合いが長い笑天です。
初出演は平成10年5月30日「その壱」で
ネタは「佐々木政談」です。
砂切:(大太鼓)玄張 (締太鼓)無眠
    (笛)栄歌 (拍子木)志ょ朝
出囃子:粟餅
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(笛)栄歌 (鉦)志ょ朝 (拍子木)かね平
ネタは漫談です。一番、夢輔を知っており、
一番の夢輔の理解者である笑天が、
その出会いから楽語の会への入会までを
面白おかしく語ります。
誰も聞いた事がない(やった事がないので
当たり前ですが)ので、舞台ソデでも客席の後でも
興味津々。みな、耳を済ませておりました。

余裕を持って話しているようですが、
内心は全くの逆です。
時間の加減もわからない、ウケるかどうかの
実績もない。最後までいけるかどうかわからない。
出る前はかなり緊張しており、高座から
降りてきた時は「あぁ、よかった」
「最後までいけてよかった」を連発。
それでもお客様を裏切ることはありません。

こういう器用さを持ち合わせているのは、
楽語の会の中では彼のみです。
漫談を語らせれば楽語の会で随一!

いよいよ大トリです。もちろん夢輔の登場です。
ネタは予想通りの「芝浜」
客電(客席の照明)を落としての演出は
当日まで誰も知りませんでした。

紋付の着流しで高座に上がるのは
なかなかできないもの。
マクラなしでスッとネタに入ります。
マクラ無しで入ると楽だろうと思われるかも
しれませんが、マクラ無しって本当はとても
怖くて不安なんですよ。

ぼんやりとした照明が大晦日の夜である事を
表現しているかのようで、なぜか暖かさが漂います。
出囃子:三下り中の舞
(三味線)金葉 (太鼓)玄張 
(笛)栄歌
ネタを予想されて、それでもその期待を裏切らない
というのは、本当に大変な事。
お客様の暖かい空気がさらにセリフに変化をとげさせ、
本人も予想できなかったような演出が飛び出し、
舞台ソデもびっくりです。
渾身の「芝浜」は、今日のこの日の全ての落語の
印象を一掃させてしまう、鬼気迫る内容でした。

高座から降りても鳴り止まない拍手に応えての
カーテンコールは、落語会でもほとんど見かけた
事がありません。追い出し太鼓も途中でストップです。
このカーテンコールの間、高座に上がってから降りるまで、
夢輔の頭の中は真っ白だったそうです。

2分ごとに撮影してくれる自動撮影で撮っていたのですが、
カーテンコールはこの1枚。2分に一枚ですから、撮れていなくても
おかしくないのですが、奇跡的なショットです。
追い出し:
(太鼓)無眠 (拍子木)志ょ朝

打ち上げの席では、もちろん労をねぎらって
花束・寄席書き扇子・写真フレームの贈り物です。

その他、お客様からも花かご・寄席書き色紙・電報に
お差し入れなど、多くの贈り物がありました。
全てを紹介できたらよかったんですが・・・
写真を撮る余裕もありませんでした。
また自慢の写真が増えちゃいました。

髪の乱れと青々としたヒゲは気にしないで下さい。

続いて、彦柳の受賞祝いもありました。
全く予想していなかったみたいで、
本人もビックリだったみたいです。

花束をもらえる人生・花束があげられる生活って
いいですね!
おまけ

魂、抜けてます。

最後の最後までハッピを着っぱなし・・・
なんででしょうね???

ご来場いただきました皆様、応援くださいました皆様、
本当にありがとうございました。
心より感謝いたします。

次回予定は・・・・・・未定です。



集合写真の問題解答

河太朗 我楽 小寿慶 志ょ朝 吉笑(太陽) 金葉
笑天 無眠 夢輔 かね平 かもめ
玄張 栄歌 喜楽 くろぅばぁ 彦柳 勢蔵